北に広がる山々を借景として取り込んだ小住宅
ご主人の定年にあたり、生活をあたらためて見直している丁度その時、
すがすがしい土地に出会われた。北に広がる雄大な景色が一番のごちそうであった。
ゆったりと広い敷地の中に、ほぼ平屋建ての家を計画し、
LDK、各々のプライベートルーム、浴室などを全て景色のよい側に配した。
少しの贅沢の為に、小さなボリュームで2階に「見晴らしの間」を設けた。
日だまりで昼寝したり、夜お酒を飲んだり、来客宿泊・・・など。使い方がいろいろ広がりそうである。
北側の谷。果樹や桜などの落葉樹が一年中楽しめる。
初めての秋、ご主人はタヌキと栗を取り合ったとのことだ!
古くからの住宅地に新築するにあたり、控えめな高さとした。植栽の奧には玄関。
低い天井の10帖弱の一室。韓紙を壁、天井に貼る。北側のやわらかい光をさらに優しく拡散する。
北から食卓。奧に台所を見る。
太陽の軌跡を感じつつ、東、北、西の景色を眺める。
木々のざわめき、圧巻の桜、彩りの落葉、しんと静まり帰った雪景色。階段は見晴らしの間へと・・・
物書きである住まい手さんの為に半地下のデスク。目線は地面により近く、より落ち着いた気持ちに。
バスタブからも、洗面所からも景色。時々は昼ビール!とのこと。
新築 大阪府豊能郡
木造軸組み2階建て
延べ床:115㎡
外構、植栽、建物本体
施工:(株)中野工務店(川西市久代)
撮影:市川かおり
掲載誌:住宅建築 368号、新しいすまいの設計 2006年8月、チルチンびと 56号